短い時間で伝わる!「読ませない」ビジネス文章を上手に書きたい
目次
あけましておめでとうございます🎍
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年は毎年やる気に満ち溢れているので、ブログの更新も頑張ってみます(仕事が始まるとどうなるか不明ですが…)。
今回は、ビジネス文章を書く際のコツについてまとめられた「書く技術・伝える技術」を読み、自分なりに印象的だった内容をいくつか紹介します。「ビジネス文章」の書き方であって、ブログやコラムなどの文章の書き方や基本的な文章の書き方というわけではありません。基本的な文章の書き方については、以前「文章を上手に書きたい!」で書いていますので、興味があればそちらもご覧ください。
・文:「。」で区切られた1語以上の言葉からなるもの。
・文章:いくつかの文からなるもの。
・文書:1つ以上の文章からなる書類や論文、メールやチャットなどの1つのかたまり。
過去記事リンク
今回読んだ書籍#
会社の先輩に紹介されて「書く技術・伝える技術」を読みましたが、とても良い1冊でした。前回紹介した『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』と合わせて読むとなおよいかもしれません。
ビジネス文章は相手に「読ませない」ことが大事#
ビジネス文章を書くうえで、もっとも大事なことは相手に必要以上に「読ませない」こと。ビジネス文章は必要な内容を知るために仕方なく読むものであり、「楽しむために読む」ことはほとんどない。重要なのは最低限の労力で必要な情報を相手に与えること。逆に、「楽しむために読む」ブログや新聞、小説などは読者が読みたくて読んでいる。この違いを意識する必要がある。 ということが書籍の1番最初の基礎の章に書かれています。読ませない、つまり相手にとって必要な情報を簡潔に伝えるためのライティングスキルが1冊を通じて解説されています。
記事冒頭にも書きましたが、今回のビジネス文章のための読ませないライティングスキルと、前回書いた「文章を上手に書きたい!」で触れたライティングスキルは微妙に目的が違います。前回の記事では、文章自体を読みやすくするための基本的な文章のライティングスキルや、細かい表現の工夫に焦点を当てています。今回は文章をどう組み合わせてわかりやすいビジネス文章にするか、何を書いて何を書かないかに焦点があたっています。
この違いの認識が甘かった私は会社の先輩から指摘を受けることになりました。奇麗な読みやすい文章を書くことは意識してきましたが、ビジネス文章としてなるべく少ない労力で必要な情報を伝えることを意識できていなかったのです。
具体的には、自分たちの開発するソリューションに関するお知らせ文書(チャット)を作成する際に、
- 「作ってもらった文書だとすべて読まないと理解できない。」
- 「直接関係のない人も見る可能性があるのだから、文書の頭に要点を書いて関係があるかどうか判断できるようにしないと。」
といった指摘をいただきました。合わせて今回読んだ書籍をオススメしてもらい、ビジネス文章のライティングスキルを学び直すことにつながります。
読者のメンタルモデルを構築し、そのメンタルモデルを崩さないような文章にする#
文章を読む際、読者は次に書かれていることや内容についてある程度頭の中で考えながら文章を読みます。この頭の中で構築される「メンタルモデル」を崩さないような文章を書くことが大事です。メンタルモデルが崩れると、読者は「何を言いたいのかわからない」となり、文章の理解が難しくなります。
例えば、以下のような文章はメンタルモデルを崩している文章例になります。
ヴィッセル神戸は2024年に天皇杯とJリーグの2冠を達成しました。
まず、天皇杯では決勝でガンバ大阪との関西ダービーを制し、2回目の優勝を果たしました。
次に、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)では…
これは極端な例になりますが、1、2行目までに構築されたメンタルモデルを3行目で崩しています。具体的には、「ヴィッセル神戸は2024年に天皇杯とJリーグの2冠を達成しました。」と冒頭で述べた時点で、読者は「天皇杯とJリーグの2冠を達成したことについて書かれるのだろう」というメンタルモデルを構築します。その後、天皇杯について書かれているので、読者は「次はJリーグについて書かれるのだろう」と考えることになります。しかし、その後にACLについて書かれているので、「あれ?Jリーグの話は?」と違和感を持つと思います。この状態が構築したメンタルモデルが崩れてしまった状態です。
※ちなみにACL(アジアチャンピオンズリーグ)はアジア規模の大会のことです
このようなメンタルモデルが崩れてしまう文章は基本的に読みにくいです。メンタルモデルが崩れるたびに新たなメンタルモデルを構築して読み進める必要が生まれますから。推理小説などで読者の意表をつきたいのならともかく、ビジネス文章では相手に負担をかけるだけです。
ビジネス文章を書くときに意識するポイント#
上記で述べてきた「読ませない」、「読者のメンタルモデルを構築し、最低限の労力で伝える」ビジネス文章を作成するための7つのポイントが書籍では紹介されています。
- 文章の冒頭に重要な情報をまとめて書く
- 詳細はパラグラフを使って書く
- パラグラフの冒頭には要約文を書く
- 文頭にはすでに述べた情報を書く
- 並列する情報は同じ構成、同じ表現で書く
- 1つの文には、1つのポイントだけを書く
- 無駄なく、簡潔に書く
6,7に関しては、前回投稿した記事の内容と似ているので、1~5について軽く紹介していきます。わたしが特に印象に残った「4.文頭にはすでに述べた情報を書く」は少し詳しく書いています。
1. 文章の冒頭に重要な情報をまとめて書く#
文章全体、章や説の単位で冒頭にそこで述べることをまとめた「総論」を書く。その後、その順序立てて「各論」を述べる。「総論」はそこだけ読んでもわかるように書くようにします。また、「総論」を書くことで、読者は「この文章ではこういう内容について書かれているんだな。おそらくこういうことが書かれているのだろう」というメンタルモデルを構築できます。
正式なレポートや長い文章の場合、総論は7文前後で構成します。7文程度であれば30秒程度で読むことができる。電子メールなどの簡易な文章や、章や説の総論は1-4文程度にするとよいそうです。2-3行しかない電子メールなどであれば、わざわざ総論を用意する必要はありません。
「総論」と最後に書く「結論」の内容が一致することを意識すると良いという点も書かれていたのですが、わかりやすい考え方だと思いました。総論で重要な情報を出し、その後補うための各論を書くわけで、そこまでで触れていない情報が結論に出てくるのはおかしいという考え方です。
2. 詳細はパラグラフを使って書く#
1つのトピックを1つのパラグラフで扱います。1つのパラグラフの大きさは、構成するなら4~8文を目安とします。パラグラフは「意味的にも形式的にも意味のある段落」と思うとわかりやすいです。
パラグラフは「意味的にも形式的にも意味のある段落」でありますが、Web文書などでは見た目を整えるために段落を変えることもあると思います。特にブログやニュースサイトでは、見やすさを用意するために形式的な段落変えを行っていることが多いです。実際、わたしの過去の記事でも以下のように紹介しました。
また、見た目を整えるという観点から段落を意識的に変えるのも大事です。Webドキュメントでは大体2~3行で段落を変えるとよいでしょう。書籍や雑誌などでは5~6行が目安のようです。
ビジネス文章においては意味的にも形式的にもまとまったパラグラフを構築するように心がけます。一方でWeb文書やチャットなどでは見やすさを優先して、形式的に段落を変えても良いのかなと思います。実際にこの記事も出来る限りパラグラフを構築するようにはしていますが、部分的に形式的な段落分けを行っています。
3. パラグラフの冒頭には要約文を書く#
冒頭にそのパラグラフの要約文を書くようにします。要約文を書いていれば、読者は「このパラグラフではこのトピックについて触れるのだと」メンタルモデルを作れるのでその後の文章が理解しやすくなります。また、前のパラグラフの要約文とつながるように書くこと。具体的に簡潔に書くことも意識します。前のパラグラフの要約文とつながるように書くことで、各パラグラフの要約文だけを拾い読みしても意味が通るようになります。
ポイント1~3をまとめると、次のような構成でビジネス文章を構成することになります。これが文書全体にも適用できると考えられますし、章や説の単位で適用することもできると思います。
1. 総論
1. 目的を述べる
2. 全体を要約する
2. 各論
1. 重要な情報1
1. 要約文
2. 詳細説明
2. 重要な情報2(以降続く)
1. 要約文
2. 詳細説明
3. 結論
1. 総論で述べた要約を抜粋
4. 文頭にはすでに述べた情報を書く#
文の中は既知の情報から未知の情報へと展開するようにします。文頭にはすでに述べた情報を書くことで、読者は「この文では何を述べるのか」を理解しやすくなります。既知の情報から未知の情報とはどういうことか、具体的な例を挙げて説明します。
悪い例:ヴィッセル神戸は2024年に2冠を達成しました。天皇杯では決勝でガンバ大阪との関西ダービーを制し、2回目の優勝を果たしました。Jリーグでは…
良い例:ヴィッセル神戸は2024年に2冠を達成しました。ヴィッセルが優勝したのは天皇杯とJリーグになります。天皇杯では決勝でガンバ大阪との関西ダービーを制し、2回目の優勝を果たしました。Jリーグでは…
悪い例では文頭に未知の情報が登場しますが、良い例では各文が既知の情報から未知の情報に流れていることがわかるかと思います。
具体的には、悪い例では「天皇杯」という単語が2文目に唐突に出現します。ヴィッセル神戸に詳しい人であれば問題ないと思われますが、詳しくない人にとっては「天皇杯って何?」となる可能性があります。
一方で良い例では2文目に「ヴィッセルが優勝したのは天皇杯とJリーグになります。」と書かれています。すでに登場している「ヴィッセル神戸」という既知の情報から「天皇杯」や「Jリーグ」という未知の情報につながっています。これにより、読者は「ヴィッセルは天皇杯とJリーグという大会で優勝したのだな、それぞれの大会について書かれるのだろう」というメンタルモデルを構築できます。多少冗長かもしれませんが、読者にとっては理解しやすい文章だと思います。
この既知の情報から未知の情報へとつながる方法には、「統一型」、「引継ぎ型」、「展開型」の3つがあります。
- 統一型:文頭に来る主語を、キーワードで統一
- 引継ぎ型:前の文の後半で説明した情報を、次の文の文頭に既知の情報として使う
- 展開型:先に網羅した情報を、次の文の文頭に置く
統一型は、「ヴィッセル神戸は」という書き出しで固定するような方法です。引継ぎ型は「ヴィッセルが優勝したのは天皇杯とJリーグになります。天皇杯では」のように、前の文の後半で説明した情報を次の文の文頭に使う方法です。展開型はまさにこの3つの方法を紹介した部分が当てはまります。『「統一型」、「引継ぎ型」、「展開型」の3つがあります。』と書いてからそれぞれの内容を書いているので、読者は「3つの方法があるのだな、それぞれの方法について書かれるのだろう」と考えることができます。
5. 並列する情報は同じ構成、同じ表現で書く#
並列する情報は、構成も表現も揃えて書く。このことをパラレリズムといいます。パラレリズムを守ると文章は単調になりますが、ビジネス文書においては関係がないため問題ありません。順番を考慮したり、並列する情報の抽象度を揃えたり、同じ形式で書くことで読者は情報を理解しやすくなります。実際に「ビジネス文章を書くときに意識する7つのポイント」の各項目も同じ構成(~~で書く)で書かれています。
まとめ#
今回、ビジネス文章を書く際のコツについてまとめられた「書く技術・伝える技術」を読み、自分なりに印象的だった内容をいくつか紹介しました。
ビジネス文章を書く際には、相手に必要以上に「読ませない」こと、読者のメンタルモデルを崩さないような文章を書くことが大事です。これらの目標を達成するために、ビジネス文章を書くときに意識するポイントを紹介しました。気になった人やもっと詳しく知りたい人は、ぜひ書籍を読んでみてください。
わたしは、先輩から指摘を受けたことをきっかけにビジネス文章のライティングスキルを学び直すことになりました。指摘、アドバイスをいただいた先輩にはとても感謝しています。指摘、アドバイスをいただいたことで、ビジネス文章を書く際に相手に必要な情報を簡潔に伝えることが大事だということを再認識できました。相手に必要な情報を簡潔に伝えるために、文章の構成や表現方法を工夫していきたいと思います。
一方で、ビジネス文章とは違い、ブログやコラムの記事は読んでいて楽しい文章であることも求められると思うので、様々な文章表現を学んでいきたいと感じました。
いやー、新年早々執筆がんばったぜ…🏋️