お久しぶりです。
今回はタイトルの通り、
プロダクト開発・現場のリアルはおもろい! だからみんな生の声をもっとみせて!!!
というポエムです。
「手動かしたらバグりますよ!!」#
私の大好きな一言。これは、メタルギアソリッド4の特典映像として収録された、開発ドキュメンタリーに出てくるリードプログラマ是角さんの発言です。
開発の期限も迫るさなか、製品としてのクオリティを高めようとする小島監督。様々な要素を入れるたびに発生するバグと向き合い続けるリードプログラマーの是角さん。
この2人がリーダ会においてバチバチに意見を言い合うシーンは、本当にしびれるものがあります。品質を安定させるために仕様修正作業中断を提案した是角さんに対し、まだまだ様々な仕様変更を入れたい小島監督のやり取りを少し紹介。
※少し省略していますが
- 小島監督「なんでこんなバグが上がってくるのか知りたいのよ!やり方がおかしいのちゃうの?」
- 是角さん「やり方がおかしいんですよ!!」
- 小島監督「だったら方針変えなきゃいけないでしょうよ。そういう議論ないの!?最後はできません言うたらしまいやんか」
- 是角さん「そこ変えたいんで!(いったん止めたい)」
- 小島監督「こちらとしても譲歩しないといけないんで、なんでバグってるのか知りたいのよ」
- 是角さん「手動かしたらバグりますよ!人間なんですから!!」
この様子、何かこう胸にくるものが…。私自身も自社プロダクトの開発メンバーとして、是角さんのような立場で意見を言わなければならない時があり(いうてメインリードの方は別にいるのでその方に任せることが多いですが)、他人事ではない光景でした…。
プロダクトとしてより良いものにしたいという目的に対して、ロール(役割)が違うので意見も分かれる。それぞれのロールを全うするために意見を出していく姿勢には尊敬しかない です。私も是角さんのようにはっきりと意見を述べられるようにならないと…
この会議シーンの後に流れる、2人のインタビューも印象的でした
「監督にはどんどん言っていただいて、我々プログラマはそれを止めてでも品質をたもちたい。仕方がないですね」
-是角さん-
「できませんというのは簡単ですけど、普通出来ないことをやって評価される」 「クオリティを高めながら、納期を守ると、これができる人がプロである」
-小島監督-
両者、かっけーーー!と素直に思います。
この動画を見てからというもの、私も周囲から色々と要望を受けるときは是角さんのコメントを思い出し、納期が近づいてきたら小島監督のコメントを思い出すようにしています。
動画の後半、小島監督と是角さん、その他開発にかかわるメンバーが笑いあっているシーンが映っているのも素敵でした。 小島監督からの無茶な要望に、開発チームが「まぁじぃで!?」と反応して笑っているところもいい光景 でした。プロとして、意見はぶつけ合っても、一緒のプロダクトを作るメンバーとして認めあえる。こんなチームを作っていきたい…。
もちろん、動画には映ってないところで、もっとギスギスする部分や辛い部分はあると思います。それでも、こういった開発現場、このリアルは見ていてめちゃくちゃおもろいなと。体系的な情報や、見られ方を強く意識したコンテンツからでは味わえない感覚でした。
リアルな声はおもしろい#
自分も開発現場にいるが、ほかの開発現場は未知数#
前節でも書きましたが、私も今の会社に転職してから、1つのプロダクトの開発にかかわっています。開発チームの一員としてコーディングはもちろん、リリースに向けたタスクの整理やスコープの認識合わせ、仕事を依頼している他社メンバーとのコミュニケーションなどを担当しています。
紹介した動画のような瞬間もあるといえばあります。ここまで激しくはないですが…。似たような経験をしているのも、この動画を見てなにか感じる部分が多かったのかも。
自分のように、実際にプロダクト開発のど真ん中にいる人間は、開発のリアルを知られる貴重な経験ができているなと感じます。一方で、そのプロダクトを外から扱う人たちからすると少し遠い世界でしょう。私もほかのプロダクト開発の現場から見れば外の人となり、私もそのプロダクトの開発現場のリアルはわかりません。
自分が知らない世界だからこそ、それぞれのプロダクト開発におけるリアルな声・様子はおもしろいのだろうと。きれいに丸く発信された情報からは得ることができないモノを得られるのだと。ポジショントーク的な内容、対外アピールを目的とした耳障りの良い薄味の内容を聞いていても「ふーん」で終わってしまいますからね!
この辺りは商品レビューなどに近いものがあると思いました。私は企業から提供を受けて商品をレビューしている人のレビューをあまり信用していません。もちろん参考にはしてますが。レビュー対象である商品の提供(あるいは金銭報酬)を受けた時点で、商品を購入して利用する一般ユーザーのリアルからは離れていると考えているので。
ありのままを書いた記事や内容は“味”がある!#
リアルな声、で言うと「退職エントリ」なんかも結構好きだったりします。「お世話になった企業に泥を塗るな!」と思う方もいると思います。あくまで一個人から見た側面だと思って割り切れば、非常に面白いリアルな声だなと感じるので。
例えば、開発チームの方に紹介していただいた以下の記事はかなり面白かったです。退職する会社にリスペクトを持ちながら、感じた点をありのまま書く。とても良い内容だと思います。これも、外面を意識した媒体では出せない “味” だと思います。
ありのままを書いた記事で言えば、Hondaのソフトウェアエンジニアが会社のテックブログに書いた内容が話題になったのを思い出します。
Hondaに就職したソフトウェアエンジニアが、赤裸々に現場の苦労を書いたコラムが掲載され話題になっていました。現在は記事が削除されてしまいましたが、当時私も読んだ記憶があります。ソフトウェアエンジニア目線で感じたHondaの良いところ、悪いところが素直に書いてあるとても面白い記事でした。
この記事を見て、受け取り手によって感じ方は様々あると思います。「現場あるあるだ!」と感心する人もいれば、「Hondaクラスの企業でこんなのはひどい!誰も就職しなくなるだろ」と感じる人もいるかもしれません。色々感じ方が変わるからこそいいのだと思います。
私としては、「製造業においてソフトウェア開発に関する環境ってこんなもんだよなぁ。こういう苦労、よそでもあるよなぁ」と共感できました。前職でがっつり製造業の方と働いていたこともありわかるところがあったので色々な制限はありましたから。とはいえ、その時はかなりITに興味のある方・チームと働かせていただいたので、この記事の方ほどの苦労はなかったです。いやー恵まれていた。
「こういう職場に人こねぇだろ」という批判的な意見に対しては、「こういうリアルを知らないで就職したところで、それが嫌なら人材は抜けるだろ」と考えています。むしろ、これを公開してくれる企業文化が好印象になるだろ!と思っていました。だからこそ、記事が削除されたのは少し寂しい…。
企業や各チームには、ぜひこういったリアルな声を発信してほしいなと。規制やコンプライアンスの関係で難しい面もあると思いますが、できる範囲でいいのでお願いしたい!
自分自身もっと発信していかねば#
書いてきたように、色々なリアルな声はとても面白いと思っています。自分自身、プロダクト開発の現場にいる一員なので、リアルな声を発信していきたいと考え中です。自分が所属している会社は結構この辺りのアウトプットに寛容であるので、色々な側面で発信できればなと。
自分たちにとっての日常も、外から見れば面白い可能性があると。奇麗な側面だけでなく、現場の泥くさい部分を積極的に出していくこと、そのものに価値があると思ってやっていきたい!
そういう意味では、ほそぼそやってるこのブログも、誰かの役に立っているのかもしれない。そう思いたい!
